研究紹介ミニ講義について

 研究紹介ミニ講義は、京都大学で営まれている研究の一端を紹介するものです。このとりくみを通じて、学外の方には大学における教育・研究・医療へのご理解を深めていただくこと、学内においては教職員の相互理解に資するべく、2011年の夏から実施しています。

 概ね月1回、昼休み時間に京都大学職員組合に加入する教員を中心に、講義形式で研究の紹介をしています。また、講義収録映像はYouTubeでも公開していますので、会場での聴講ができなくても、後日お好きな時間にご視聴いただけます。なお、講義後の質疑応答は収録いたしておりませんので、ご了承ください。

 最新の講義は、このページの埋め込み映像でご覧いただけます。最新講義以外の収録講義は、YouTubeの映像再生ページへのURLで表示しています。
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2016/05/31

「メンタルヘルスから見た現代の危機」の講義映像を掲載しました|富田直秀 氏 (桂工学部支部)2016.05.20

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日 時:2016年5月20日(金)昼休み

会 場:京都大学職員組合 事務所会議室

講義題:「メンタルヘルスから見た現代の危機」

講 師:富田 直秀 教授(工学研究科教授)

収録映像:https://youtu.be/h5U7cT_vq1s  (YouTube)

講義概要: 
 10年以上前から、新入生へのオリエンテーションでメンタルヘルスに関するスピーチを担当してきました。当初は、精神医学の基礎知識などを基盤にした注意事項を話していたのですが、スピーチ後に相談に訪れた学生や研究者たちとの交流から、現代の危うさを強く感じるようになってきました。相談に来る学生の変化に危うさを感じるのではありません、異常状態、つまり悪循環に接したときの我々研究者や社会の態度に強い危機感を感じ続けています。
 学問分野においては、従来の「最適化」のみならず、ヒューマンエラー、非線形現象、臨床、リスクコミュニケーションといった多様性に関連する事象に対して、認識論的、存在論的な考察まで交えて議論されるようになってきました。けれども、厳密性と歴史性を重視する学問のフィールドにおいて、その記述はとても難解で、その内容を実感として捉えて、ヒトや社会を対象にした実践に生かすことのできるスキルには未だ至っていないようです。講演では、絵や図などの可視化を用いて、多様性の生じる原理、正常・異常の概念、そうして現代科学がいかに「主体」と関わっているかを、可及的平易に述べてみたいと思います。そうして、「最適化」や「傾向と対策」を基盤とした問題解決法が人を追い詰めた結果として、今では「異常」自体が大きく変化している可能性を主張したいと思います。

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